パーティーが終わって、中年が始まる
七月の頭、会社の有給消化のため二泊三日の京都旅行に行ったのだが、その隙間時間に本書を読んだ。中年になった pha 氏が自身の「衰退のスケッチ」として描いた本書だが、なんというか、パラレルワールドにいる未来の自分の文章を読んでいるような気持ちに少しなった。
著者の pha 氏について、自分は「小飼弾氏の書評だかを昔読んだことがある気がする」程度の認識しかなかったのだが、ニートとしてシェアハウスを運営したり文章を書いて生活し、生きづらさを抱えつつも感性を尖らせ続けながら若い時代を最大速度で駆け抜けてきた方のようだ。本書は、そんな pha 氏が 40 台半ばに差し掛かり、若いときの感性や体力が緩やかに失われつつあることを自覚しながら、少しの寂しさとともにその事実を正直に淡々と記述していくような内容であった。説教くさい部分はなく、教訓を語るようなタイプの本ではないのが良かった。「あぁ、自分の少し先の未来もこんな感じかもな、なんだか怖いな。希望はないけど、絶望するにもまだ早い感じで、そのあたりがリアルだな」と思いながらページをめくっていった。全体的にダウナーなムードであり、pha 氏に特別な思い入れがあれば喪失感とともにもっとエモい感覚に浸れたのかもしれないが、自分にはあまり深く刺さる内容ではなかった。ただ、Maher Shalal Hash Baz のライブは、近いうちに行ってみたいと思う。