[入門]Webフロントエンド E2E テスト

[入門]Webフロントエンド E2E テスト

これまでなんとなく使っていた Playwright について網羅的な知識を得たいと思い、本書を読んでみた。蓋を開けてみると、使い方に関する広く浅い内容がほとんどだったが、これから Playwright やテストの自動化に取り組みたいという人には良い入門書だと思う。全体的な構成は以下の通り:

  1. Playwrightハンズオン
  2. E2Eテストツールの紹介
  3. Playwrightのテスト用ツールセット(1)ロケーター
  4. Playwrightのテスト用ツールセット(2)ナビゲーション,アクション,マッチャー
  5. テストコードの組み立て方
  6. 実践的なテクニック
  7. ソフトウェアテストに向き合う心構え
  8. E2Eの枠を超えたPlaywrightの応用例
  9. Web APIのテスト
  10. E2Eテストの実戦投入
  11. Playwrightの内部構造

目次からわかる通り、Playwright の導入からテストの書き方、実践的なパターン集、CI への組み込みやプロジェクト管理との統合、テスト一般に関するアドバイス、など、押さえるべきポイントがしっかりまとまっている印象だった。最低限のことは書かれているため、これで Playwright を使いこなせるようになるというわけではないが、Playwright に興味をもっている人にはおすすめできる一冊だと思う。Playwright の公式ドキュメントは個人的に構成に難があるように感じており、その意味でも、小さくまとまっていて素早く学べる本書のような存在は、初心者にとってありがたいだろう。

ただ、Playwright に関する深い知識を学びたい人にとっては、本書では物足りないかもしれない。たとえば最後の 11 章にあるような内部構造に関する解説は、実際には数ページのごく短いもので、少し拍子抜けした。また、全体的にトピックは網羅されているものの、思い付きで継ぎ接ぎしたような箇所も散見された。さらに、タイポや誤りも比較的多く、たとえば 6.2 認証を伴うテストでは、「これについては割愛します」と書いた直後にそれについての解説が始まり、目を疑った(なぜか Entra ID を使用していることを前提に話が進む点にも違和感を覚えた)。最初のハンズオンで Next.js を使うのだが、コードの書き換えの指示なども不親切で、Next.js に慣れていない人には厳しいだろうなと思うようなこともあった。

Playwright や E2E テストに興味があり、これから取り組み始めたいと考えている人は一読の価値があるはずだ。ただ、長く手元に置いて何度も読み返すタイプの本ではないので、読了後は実際に手を動かしながら公式ドキュメントを読み進めるのが良いだろう。