実践Node.js入門―基礎・開発・運用
考えてみると、実務とプライベートで毎日 Node.js を触っているにも関わらず、それをテーマとした書籍をしっかりと読んだことがなかったため、著名な開発者が書いた本書を読んでみた。書籍名の通り、Node.js の基礎から開発、運用までを網羅した内容となっていた。全体的な構成は以下の通り:
- はじめてのNode.js
- JavaScript/Node.jsの文法
- Node.jsとモジュール
- Node.jsにおける非同期処理(フロー制御)
- CLIツールの開発
- ExpressによるREST APIサーバー/Webサーバー
- フロントエンド/バックエンドの開発
- アプリケーションの運用と改善
ざっと眺めただけでも随分幅広くカバーしているが、よくある広く浅い解説ではなく、実際に実務で使うポイントまでしっかりと抑えていることが印象的だった。
たとえば、フロントエンド開発は Node.js の解説という趣旨からすると手を抜いてもよさそうな分野に思えないこともないが、雑に「React を使ってアプリを作ってみました」という内容ではなく、
- モノレポによるプロジェクト管理
- コンポーネント設計
- CORS への対応
- デプロイ
- ユニットテスト、スナップショットテスト、E2E テスト
など、実務では避けて通れないポイントまでしっかりと触れている。こうした幅広いトピックが一つの章に圧縮されているため、おそらく読み手が初心者であれば、どんどんと新しい知識が登場することに戸惑うかもしれない。しかし、そこで折れずに手を動かしながら最後まで一旦読み進めれば、フロントエンド開発において最低限必要な知識が一通り頭に叩き込まれるようになっている。その意味で、初心者は全体像をぼやっとでも掴むために本書を使えるし、経験者は自分の理解が不十分な点を炙り出すために使えるだろう。
このように本書は、Node.js の実務における必要知識を広範にカバーしている点が一つの特徴となっている。フロントエンド開発の章以外も、たとえばモックを利用する場合の注意点や、パフォーマンス計測などまで触れられており、開発におけるさまざまな局面での知識が得られるはずだ。
ただし、全体を通して詰め込み型の内容というわけではなく、前半の重要コンセプトの解説については、図をこれでもかと多用してしっかり読者に理解させようとしている点についても触れておきたい。こうした図解は、特に初心者にとっては非常にありがたいはずだ。さらに、文章の端々やコラムなどにおいて、筆者の経験に基づいた実践的なアドバイスがちりばめられているのも、読み手にとって大きな収穫となるだろう。
Node.js を学ぶための選択肢は非常に多いが、信頼できる著者がその経験をもとに Node.js に関する話題の全体像を網羅的に描いた本書は、多くの学習者にとって一読の価値があると感じた。ここで得た知識をもとに、必要なツールの公式ドキュメントなどを読み込み、手を動かしていくと良いと思う。